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SPAWN #156



 ンダ・ブレイクの眼前には信じがたい光景が広がっていた。ケイティの手には血まみれのバットが握られ、ジェイクの頭部は砕け散り、脳漿が飛び散っている。ワンダは我が子の死に悲しむことすら出来なかった。
 ワンダには、いずれこうなることが分かっていた。ワンダの夫であるテリーがたまたま留守にした際、ワンダは何者かに「種子」を植えつけられた。その者が人間であったのか、それともまったく別の何かであったのか、ワンダには知る由もない。だが、その後に生まれた双子を見てワンダは確信したのだ。
 私は化け物を孕まされた、と。

SPAWN #156

spawn1561 (1)

 異常な状況に戸惑うワンダは、救急車を呼ぶ。自分の子供が、子供を殺したのですと。そんなワンダの苦悩をよそに、ケイティはカーペットクリーナーで掃除を始める。ジェイクの血を拭き取るためだ。しかも、脳を吹き飛ばされたはずのジェイクまで一緒に、「自分の血痕」の後始末を始める。常軌を逸した双子の行動に、ワンダは恐れを抱くしかないのだった。
 だが、双子は救急隊員の前ではいかにも普通の子供を装った。頭蓋骨が砕かれたはずのジェイクの頭部はいつの間にか、「すり傷」になっており、ワンダが動揺しすぎだと救急隊員に窘められる始末。夫のテリーもワンダの言葉を間には受けない。
 それでもワンダは、呟かずにはいられないのだった。
あの子達は怪物なんじゃないかと恐ろしくなるのよ……

spawn1561 (2)

 北インド、ベンガルでは人外の存在が激突していた。破壊神カーリーと、ヘルスポーンの戦いである。復活を果たしたスポーンはマモンにも匹敵する力を誇っていたが、相手は神。スポーンは瞬く間に劣勢に追い込まれるのだった。
カーリー「貴様の虚無を感じるぞ、ヘルスポーンよ。貴様の体内に閉じ込められた魂の叫びが聞こえる。彼らは自由を、死を求めている。ならば私がその望みを叶えてやろうぞ」
スポーン「やめろ! 彼らは俺の一部だ!」
カーリー「お前はアルマゲドンを止めようとしているらしいな?」
スポーン「そうだ、この世界をアルマゲドンから守らねばならない」
カーリー「何ゆえにアルマゲドンの回避を望む? お前はヘルスポーンではないのか? ヘルスポーンにとって、戦いこそがすべて」
スポーン「誰と戦うかは、俺が決める。もしアルマゲドンが起きたら、全人類が滅びる。そんなことをさせるわけにはいかん!」
カーリー「死は我らにとって祝福。嘆きに満ちたこの世界を離れ、より良き世界へと生まれ変わるのだ」
スポーン「人間はそんなこと望んではいない。死と新生の環はここで終わらせる」
カーリー「それもまたよし。地球が平和になろうて」
 スポーンとカーリーの会話が一段落したところで、アマルが口を挟む。スポーンの内より出でたヒンドゥー教徒だ。アマルはカーリーにスポーンを助けてくれるよう懇願する。スポーンの存在がアルマゲドン回避の鍵を握っているのだと、直感的に悟っていたからだ。
 カーリーは神をも恐れぬアマルの勇気を評価し、代償を求めた。スポーンと匹敵するほどの、生贄を

spawn1561 (4)

 アマルが差し出したのは、妻のシャンティが抱きかかえる赤子だった。二人はシャンティが身ごもった直後に他界した。つまり、ここにいる子供はシャンティの過去と、そして決して訪れない未来が交錯した存在なのだ。誰もが二人の子供を認識できるが、彼が決して生まれることはない。生まれることなく死んでいながらも尚、両親の愛で存在しつづける赤子。
 スポーンは二人の告白を聞きながら、ワンダとの結婚生活を思い出す。子供を成す、その喜びを享受することなく終わってしまった過去を
 大いなる矛盾を抱えた無垢な魂は、カーリーを満足させた。
スポーン「感謝する。あんたたちには借りが出来た……」
アマル「気にしないでください。私たちの子供は、ここにはいなかった。我が子と共にありたいと願う心が、赤子を存在させていたのです。どうして我々が選ばれたのかは分かりませんが、準備は出来ました。我々はあなたの一部となりましょう」
 スポーンはアマルとシャンティの痛みと喪失感、そして喜びを分かち合った

spawn1561 (5)

 ジェイクとケイティの双子を精神鑑定医に診せるワンダだったが、鑑定医は二人を「普通の子供」と診断した。双子は決して、人前では尻尾を出さないのだ。となれば、我が子を異常だと恐れるワンダこそが、異常だということになる。
 精神鑑定医からも、そして夫のテリーからもワンダは異常視される羽目となってしまった。だがワンダは、双子の異常さを信じて疑わなかった。テリーは必死に忘れようとしているが、双子は一歳にも満たない内にアルファベットを自由自在に使いこなしていたのだ。
 KILL MOMMY
 ママを殺せ。

spawn1561 (6)

 ベンガルでの敗北を経て、スポーンはサムとトゥイッチの元へと戻ってきた。サムの事務所にはテネシー州でのゾンビ事件を解決したヒロシとクミコがいた。
ヒロシ「よく戻られました、シモンズさん」
トゥイッチ「アル。インドで何があったのですか? 本当にカーリーが? 彼女を倒したのでしょうか?」
スポーン「倒すだと? 俺は思い知らされただけだ。神の前では未だにゴキブリのようなくだらん存在にすぎんと。この程度の力では、誰も救えん」
トゥイッチ「なるほど……ところで、面白いことが分かったんです。ヒロシとクミコ、そしてクリストファーには共通点があるのです。もしかしたらそれが、あなたの身に起きたことを解く鍵になるかもしれません」

spawn1561 (7)

 一方その頃、テリーとワンダの家では双子が暇つぶしと称して、両親を拘束していた。もちろん、彼らの姉であるサイアンも遊び相手の一人。
 シナリオはこうだ。精神の安定を欠いた母親が夫と子供を惨殺。我に返った母親は後悔のあまり、自殺する。誰も双子の反抗だとは思わない。
 ケイティーはワンダに銃口を向けながら、醜く顔を歪めた。

to be continued SPAWN #157



 ストーリーがますますカオスになっていくアルマゲドン編。正直、カーリーのくだりはよく分かりませんwだって、キリスト教世界観をベースにしているのに異教の神様を出されても……ねえ。天界と魔界の戦いから明らかに浮いちゃってます。

←今日からvol.2に突入
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SPAWN #155



 ヴンズゲート。人間に天国と認識されるその地では今、忘れ去られし者と天使たちの戦いが繰り広げられていた。忘れ去られし者とは、天界にも魔界にも属さない勢力である。スポーンを苦しめたマモンもその一人だった。
 強大な実力を誇る忘れ去られし者の軍勢相手に、神を欠いた天使たちは追い込まれる一方である。そこで、一万年前に神が幽閉した熾天使の長・ゼラを解き放つことにしたのだ。ゼラは神への忠誠篤く、そして、最も力の強い化け物の一人であった。

SPAWN #155

spawn1551 (1)

 ゼラの力の源は、狂気。荒ぶる気性と力を以って、熾天使の長は敵を蹂躙する。主を欠いた天使軍団の劣勢を覆すほどの実力を秘めたゼラがいれば、忘れ去られし者との戦いに勝利出来るのだ。
 だが、ゼラを解き放つ……その選択は果たして正しかったのか天使たちにも判断がつかない。狂気に駆られ、殺人機械と化したゼラから、誰が自分たちの身を守ってくれるというのだろうか。神ですら手を焼き、封印したというのに。

spawn1551 (2)

 北インド、ベンガルには死の匂いが満ち満ちていた。村からは人が消え、僅かに生き残った人々はカーリーを心酔する黒装束の殺人鬼を恐れている。やがてスポーンとクリスは、この世に現出した地獄を目撃することとなる。
 黒装束の男が村人の死体を解体していたのだ。しかも、彼自身の手は汚さず、生き残った村人たちにかつての隣人の死体を切り刻ませていた。
スポーン「貴様、どういうつもりだ?」
「母たるカーリー神のためだ。神はこの世に再び降臨なされる。そしてお前のような存在を地獄へと送り返すのだ!」
スポーン「ほう? ならば一足先に地獄を見せてやる!」
 スポーンは不快感と怒りに任せて、男を殺す。その方法は残虐無比。スポーンの殺し屋としての顔は些かも衰えていない。
「慈悲、という言葉を君は知っているかい?」
 スポーンを嗜めるのは、マン・オブ・ミラクルズだった。

spawn1551 (3)

スポーン「またお前か? 今度はどんな講義をぶってくれるんだ? 己が内の声に耳を傾けるんだ……か?」
ミラクルズ「その通り。そして君は声を聞いた。今の君は全ての言語が同一のものとして捉えられるはずだ」
クリス「そうだよ、あいつとあなたは話をしていた……」
スポーン「それがどうした?」
クリス「あいつはこの地方の言葉を使っていたんだよ」
スポーン「だが俺は理解できたぞ」
ミラクルズ「君の内なる存在のおかげさ。彼らが君に学ばせたんだ。もしカーリーを倒し、ここの人々を解放したいのなら、〝声〟に耳を傾け、何をすべきか見極めることだね」
スポーン「そんな暇はない」
ミラクルズ「君に選択肢はない」
スポーン「俺はいつでも選択してきた。天界にも魔界にも左右されずに、だ。二度と俺にそんな口を叩くな!」
ミラクルズ「それじゃあ君は世界が破滅するまで、あの路地裏で無知のまま朽ち果てていくつもりかい? もうこの世界に安寧は訪れない。君の愛するワンダやサイアンも例外じゃないよ。彼らを守りたいならば、〝声〟を聞くんだ、アル」
 クリスがカーリーを倒す秘密を知っているよ。そう言い残し、ミラクルズはいつものように消えていった。
クリス「一度、あなたの中に戻った方がいいみたいだよ」
スポーン「本当にカーリーを倒せるんだろうな?」
クリス「多分ね」
 クリスの小さな姿が、スポーンの胸の中へと吸収されていく。

spawn1551 (4)

 スポーンの中に広がるもう一つの世界では、ヒンドゥー教の信者と思しき夫婦がいた。二人はクリスやヒロシたちと違い、自分たちが既にこの世のものでないことに気づいていた。生前に罪を犯したからこそ、そのカルマを背負ってこの不可思議な世界に取り込まれたのだ。そう語る女性は、小さな物体を抱えていた。よほど大事なものらしく、女はクリスが外の世界……つまり、スポーンの体の外へとクリスが運ぶ時にも手放さなかった。
 敬虔なヒンドゥー教徒である二人は、現在の北インドを俄かに騒がす破壊神カーリーに詳しかった。スポーンは二人からカーリーが血と殺戮に魅入られた恐ろしき女神であることを聞かされる。
「ですが、今お話したことはあくまでも神話なのです。現実ではありません」
スポーン「そいつは、あの女に言ってやってくれ」

spawn1551 (5)

カーリー「愚かなる悪魔がのこのこと現れおって。おかげで貴様を探す暇が省けたわ!」
スポーン「思い違いをしているな。俺は悪魔じゃない。お前がもたらす恐怖を止めるために来たんだ」
カーリー「恐怖じゃと? 虚ろなる者よ、貴様こそ多くの恐怖をもたらしてきたのだろうよ。今度は貴様の番じゃ!」

spawn1551 (7)

 テネシー。記憶を取り戻したヒロシは、訥々と過去を語り始める。
 生前のクミコは両親に反発し、夜な夜な歩き回る少女だった。その日もクミコは両親の制止も聞かず、外に飛び出していこうとしていた。ヒロシが嗜めても、クミコは聞く耳を持たない。それどころか、両親がヒロシを疎んじていることを告げる。ヒロシがいては、プライバシーが守れないのだと。家族を傷つけるだけ傷つけて、クミコは家を出て行った。
 それでも、ヒロシにとってクミコは孫であることに変わりなかった。刀を手に、ヒロシはクミコを追って飛び出す。ここのところ彼女が何をしているのか、ヒロシはすべて知っていた。体を売ることと引き換えにドラッグを買い漁っていたのだ。
 ドラッグの元締めの居所を突き止めたヒロシは、今夜こそクミコをドラッグの呪縛から解き放とうと決意する。
 銃で武装した男たちに刀片手に挑むヒロシ。彼に銃が向けられた瞬間、クミコが叫んだ。
「この人に手を出さないで!」
 だが、その叫びも虚しく、クミコは祖父もろとも銃弾に倒れるのだった。

spawn1551 (8)

ヒロシ「お前を助けるつもりじゃった。じゃが……」
クミコ「思い出したわ。あたし、皆のことを傷つけてた。でも、本当は……調子に乗ってたのよ。ごめんなさい、お祖父ちゃん」
ヒロシ「もう泣かんでいい。ワシの方こそ、すまなかったな」
クミコ「あたしたち、これからどうすればいいの?」
ヒロシ「どのような理屈かは知らんが、ワシらとスポーンはリンクしておる。この街を守るためにワシらは召還されたんじゃ」
クミコ「なら、新しい武器がいるね……もう銃なんかいらない。あたしに必要なのは」
 クミコの意志に反応して、コスチュームが全身を覆っていく。
クミコ「さあ、ゾンビ退治だよ!」
 完全なヘルスポーンと化したクミコの手には、祖父と同じ刀が握られていた。

spawn1551 (9)

 テネシーを開放した二人のヒーロー。クミコとヒロシの活躍は既に世界中の知るところとなった。その様子を忌々しく見つめているのは、ワンダ・ブレイクの双子たち。
ジェイク「お前のカーリーはニュースになってないみたいだな」
ケイティー「そんなことより。ジェイク。あんた、あたしにしたこと覚えてるだろうね? 鋏を頭にブッ刺したアレだよ」
 ケイティーはバットを手に、ジェイクの背後に立った。
ワンダ「あなたたち、何をしているの!」
ケイティー「借りを返してもらってるだけよ」
 帰宅したワンダの目の前には、変わり果てた我が子が転がっていた。





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SPAWN #154



 行を積めば、天国に行ける。スポーンがまだアル・シモンズだった頃、大人たちにそう言われて育ってきた。だが、シモンズは戦士としてあまりにも多くの人を殺しすぎた。シモンズが本来持っていたはずの純粋さは永遠に失われてしまったのだ。彼が地獄の尖兵、ヘルスポーンとなるのは自明の理だった。
「だが、あのガキは……」
 スポーンは両目を失ったヘルスポーン・クリスに目を向ける。クリスはその空洞の眼窩に雨を受け続けていた。

SPAWN #154

spawn1541 (1)

 スポーンがアンダーワールドに幽閉されている間に、世界は変貌しつつあった。トゥイッチから世界の状況を知らされたスポーンは、クリスをサムとトゥイッチの事務所へと招き入れる。自分と、そして世界を取り巻くこの状況の鍵を握っているのは、マン・オブ・ミラクルズと面識のあるクリスだけだと考えたためである。
スポーン「クリス、俺に教えてくれ。俺の頭の中には何がいる?」
クリス「説明するのは難しいよ。何と言うか、あなたの中に沢山の人たちがいるんだ」
スポーン「マレボルギアが最初に俺を蘇らせた時から、闇からの囁き声は聞こえていた。ミラクルズはその声に耳を傾けてみろというが、俺には雑音にしか聞こえない。まるで虫どもが騒いでいるようにな。まったく理解できん。気が狂いそうだ」
クリス「彼らは混乱しているんだよ。自分が何処にいるのかすら、理解出来てない。闇の中で彼らは道標を待ち続けているんだ」
スポーン「クリス、俺を見つけた時に連中を召還したな? 今も出来るのか?」
クリス「もちろんだよ」
 それを聞いたスポーンは、自分が真に強大な力を獲得したことを理解する。かつては自分の力を欲する地獄、そして敵視する天国の二大勢力の板ばさみになっていたが、これからは違う。マモンとサムズを退けたヘルスポーン軍団には、彼らと対等に渡り合えるだけの力がある。
スポーン「これからは俺が打って出る番だ。トゥイッチ、情報をくれ」
トゥイッチ「北インドで破壊神カーリーが現れたみたいですよ。ですがインドに赴く前に、テネシー側の異変を調査した方がよさそうです。何でも、死者が蘇っているとか……」

spawn1541 (2)

 テネシー。街中が火に覆われる異常な状況の中で蠢くのは、やはり尋常ではない存在だった。ビリー・ボブはかつての我が家で、妻・エマをたぶらかした男と出くわす。墓から蘇ったビリー・ボブが最も殺したい相手が目の前にいた。エマを殺したビリー・ボブに躊躇う道理などない。既に生ける屍となったエマと共に、ビリー・ボブは復讐を果たすのだった。

spawn1541 (3)

 老人は、いつ果てるともしれない闇の中を歩き続けていた。彼が覚えているのは、北村ヒロシという己の名と、家族を守るという固い誓いだけだった。孫のクミコを守るという誓い。長い間、ヒロシはクミコを見守ってきた。彼女の後ろを歩き続けてきた。だが、その距離が縮まることもなければ、クミコが振り返ることもない。もう何年も、暗闇の中のクミコと顔を合わせていない。
 そのクミコが突然、光に向かって歩き始めた。暗闇の中で過ごした数年間で初めて目にした光だった。
 ようやく悪夢の終わりが訪れた。老人はそう考えた。
 だが、暗闇を抜け出た老人を待っていたのは胸に大きな傷を持つ奇妙な男だった。
ヒロシ「クミコ! 何が起きたんじゃ? ここは一体……?」
クミコ「ゲームよ! あたしがいっつもハマってたやつ。そうでしょ?」
 ヒロシとクミコは、男・スポーンと同様のコスチュームに身を包んでいる。スポーンはクミコの子供じみた反応を冷淡に観察しながら、力の使い方を伝授した。テネシーの異変は、この二人に任せるつもりだった。
クミコ「オーケー。武器の使い方は分かったわ。で、どいつを殺せばいいの? このゲームのルールは?」
スポーン「ルールなどない。勝て! この下にいる連中を根絶やしにしてみせるんだ」
ヒロシ「誰が相手だと?」
クミコ「すっごい。こいつらゾンビよ!」
 無邪気に喜ぶクミコは、己がどういう存在なのかまるで理解していない。この場を本当に任せてもいいものか。不安を抱くスポーンに、クリスが「安心しなよ」と声をかける。
クリス「もう少し、他人を信用した方ががいいんじゃないかな」

spawn1541 (4)

 クミコと並んでゾンビを屠っていくヒロシ。ヒロシが今まで磨き続けてきた剣技に翳りはない。それどころか、これまでにないほどに体が動く。だが、喜びはなかった。ゾンビどもは斬るに値しない相手だからだ。
 やがて二人は、生存者が立てこもる教会を発見する教会を守るために奮闘するクミコ。だが、いかにネクロプラズムの銃を使用しているとはいえ、相手は無数に湧き出る生ける屍たち。クミコはゾンビに囲まれ、悲鳴をあげる。その瞬間、彼女はゾンビを屠る戦士ではなくなっていた。腐った匂いが立ち込める。だが、その匂いは決して、ゾンビからのみ発せられるものではなかった

spawn1541 (5)

 ヒロシは剣を一閃し、ゾンビを一蹴する。クミコの窮地を救った今、ヒロシの誓いは果たされたことになる。だが、ヒロシはその誓いが何の意味も持たないことを悟るのだった。地面に蹲る孫は己が屍肉の匂いで嘔吐していた。
 そう、ヒロシとクミコは既に死んでいる
ヒロシ「思い出した……ワシはお前のあとをつけておった。刀を持って、お前のあとをな。お前を守るため、家族を守るために……ああ、クミコ。お前はワシが殺したんじゃ」

spawn1541 (6)

 天界。迫り来るアルマゲドンに対して、天界はあまりにも無力だった。神を欠いた天界に出来るのは、ただ状況が推移していくのを見守ることだけ。うろたえる天使たち。そこに、一人の天使が現れる。
「姉妹たちよ、恐れることはない。私が希望となって道を照らしてみせよう。忘れ去られし者すら恐れるこの熾天使の長、ゼラが」

to be continued SPAWN #155




 今週はスポーン紹介週間。次の155でアルマゲドン編の折り返し地点に入ります。それに合わせて、続々と新キャラクターが登場。誌面を賑やかに彩ってくれます。といっても、その殆どはこのアルマゲドン編で姿を消すんですけどね(ぇ



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SPAWN #153



 ポーンことアル・シモンズのかつての妻の下には三人の子供がいる。サイアン、そしてジェイクとケイティの双子だ。まだ幼い双子は家の中で自由気ままに振舞っている。ジェイクの目下の興味は、「池にペンキを流し込んだら、どうなるか」だ。もちろん、その池には魚がいる。ジェイクはその魚の行く末をサディスティックに観察するつもりだった。
 一方、ケイティは腹に口の生えた不気味な蛙の絵を描いている。
 おぞましい趣味を持つ双子。二人に手を焼くワンダは、彼女の祖母・グラニーに双子を託し、会議へと行ってしまう。グラニーが盲目であることを知る双子は、言葉では従順に従ってみせるものの、その表情は完全に曾祖母を馬鹿にしていた。
 母が仕事に出かけ、姉のサイアンが学校に行っている今、双子を止める者は誰もいない。ジェイクは「池の悪戯」を告げ口したケイティに向かって鋏を振り下ろした

SPAN #153

spawnhundredfiftyth (1)

「あんたに絶対後悔させてやるから」
 鋏に脳を穿たれながら、ケイティは殺意を剥き出しにした。

 その晩、家に帰ってきたサイアンは双子への恐怖をグラニーに漏らす。あの二人は、自分たちとは根本的に違う存在なのではないかと。サイアンがそう零すのには理由があった。ここのところ毎晩、悪夢にうなされているのだ。血の川、太陽と月が並ぶ異常な光景、その空の下で飢えに苦しむ人々。しかも、彼女が夢に見た光景が次々と現実になっていく。自分の悪夢が現実を侵食しているのではないかという気すらしてくる。グラニーは、そんなサイアンを慰めるものの、世界を覆う混沌に不安を隠せない。

spawnhundredfiftyth (2)

 アンダーワールド。グラニーが守護天使と愛するアル・シモンズはスポーンの軍団を従え、忘れ去られし者の一人である・マモンと相対していた。
スポーン「よく見ろ、マモン。貴様は真実を欲していたな! 俺が何者であるかを知りたがっていた。これが答えだ!」
サムズ「馬鹿な。マレボルギアがアル・シモンズをヘルスポーンの上位存在として蘇らせたとしか考えられん」
マモン「いや、マレボルギアではない。奴よりも強大な存在がシモンズの変化に関っているのだ……シモンズよ、貴様という存在は興味深い。我が軍門に下れ。その暁には世界をくれてやろう」
スポーン「貴様如きが俺に取引を持ちかけるだと? サタンを連れて来い。お前では話にもならない」
サムズ「我が主の名を軽々しく口にするな!」
スポーン「威勢はいいな。だが、貴様らの恐怖を感じる。俺という存在が理解できないんだろう? 俺は貴様らの想像を超えた存在だった。違うか?」
 ヘルスポーン軍団を従え、スポーンはサムズが創りだしたかつての仇敵たちへと戦いを挑む。

spawnhundredfiftyth (3)

 復活したスポーン、そしてヘルスポーン軍団の力は圧倒的だった。敵を瞬く間に屠り、サムズとマモンを敗走へと追い込む。
 戦いを終えたヘルスポーン軍団は現れた時と同じように、スポーンの体へと吸い込まれていった。スポーンは復活の鍵となったクリストファー、サムとトゥイッチを連れてアンダーワールドの外へと飛び出す。クリストファーらをアンダーワールドへと案内したサーカスは跡形もなく消え去っていた。訝しがる一行の前に、マン・オブ・ミラクルが姿を現す。
ミラクル「〝あれ〟は役目を終えたのさ」
スポーン「サム、トゥイッチ、クリスを頼む。こいつの相手は俺がする」
クリス「大丈夫、彼は僕を傷つけたりしないよ。ねえ、僕は上手くやれたかな?」
ミラクル「完璧だよ。君のおかげでスポーンは己がアル・シモンズ以上の存在であることに気づけた」
スポーン「何故俺のことを知っている? 答えろ!」
ミラクル「ずっと、君のことを見ていた。君の魂が流れ出していく様を。そして今日、分かたれた魂は君の元へと戻った。クリスを大事にするんだよ。彼は、君の良心そのものだ。君が失ってしまった、ね。己が内に響く魂の声に耳を傾けてごらん。最初は意味を成さない言葉かもしれない。だけど、必ず理解できるようになる」
 ミラクルは啓示を残し去っていった。

spawnhundredfiftyth (5)

 スポーンは地球に帰還した。だが、その間にも世界は刻一刻とその姿を変え続けていた。
 ケイティーとジェイクの双子は、ついにその異常性と残虐性を露にし始めた。まるで、世界の変化に足並みを合わせるように。

spawnhundredfiftyth (6)

 テネシー。エマは亡夫を偲んで墓地で涙を流していた。当時浮気をしていた彼女は、愛人に会いたいがために夫を騙し、嵐の夜へと送り出した。哀れなビリー・ボブは交通事故に巻き込まれ、帰らぬ人となった。すべてはエマが招いたことであった。夫の墓の前で己の罪を懺悔する妻。そこまでは、ありふれた光景であったかもしれない。だが、世界は変わり始めている。その価値観が、根底から変質しているのだ。
「エマ。てめえは俺が嫌うものを知ってんな? 水で薄めたウイスキーと、二股をかけやがる淫売だ!」
 死者は、もはや死者ではない。それがこの世界の新しいルールだった

to be continued SPAWN #154





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SPAWN #152



 んてこと! クリス、本当にあなたなの?
 変わり果てた姿で家に辿り着いたクリストファー。肉塊となれ果てた息子を抱きしめる母親には、その醜い姿は見えていない。彼女に見えているのは、生前と何も変わらぬ愛しい息子の姿だった。
 人間は、自分が見たいと望んだものしか認識できない
 クリスの前に再び姿を現したマン・オブ・ミラクルはそう告げる。ミラクルの姿は、母親にはグリーン・レディ、クリスを連れて行った女性としか映っていない。
ミラクル「彼女にとって、君はいつまでも子供のままなのさ。そうあって欲しいと願ってきた。彼女はもう大丈夫だろう。これからは自分の人生を生きていく」

SPAWN #152

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ミラクル「でも、僕らにはまだ仕事が残されている」
クリス「僕に何が起きたの?」
ミラクル「君が死んでからのことを思い出せるかい? アル・シモンズと呼ばれた男のことを覚えているかい? 勇敢で気高い男だった。けれど彼は、己が純潔を失った。戦士として多くの人間を殺しすぎたんだ。その罪悪感はシモンズの心を歪ませた。凍りついた彼の心を溶かすには君が必要なんだよ、クリス」
 でなければ、彼は死ぬ。

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 ミラクルの言葉を裏付けるように、スポーンはオーバートキルら地獄に堕ちた仇敵に蹂躙されていた。
サムズ「こんな男が本当に我らの障害となるのか疑わしいものだな」
マモン「どうやら私の見込み違いだったようだ。いいだろう、サムズ。やりたまえ。死すらも超越した苦痛、その存在が消滅する恐怖というものを刻み込んでやれ」
 マモンの命で、スポーンに手が下される。スポーンは悲鳴をあげることも出来ず、ひたすら苦痛に耐えるしかなかった。

spawn1524.jpg

 マン・オブ・ミラクルに連れてこられたのは、不気味なテーマーパークだった。そこには皮を削がれた醜い子供たちが溢れている。
クリス「おばあちゃんたちとここに来たことあるけど、こんなんじゃなかったよ」
ミラクル「クリス、いつまでも変わらぬものなどありはしないよ。全ては変わりゆく。そして、世界がどう変わるか決めるのは君なんだ
 スポーンのを見つけるんだよ。そう言い残し、ミラクルは消え去った。
 残されたクリスは子供たちに核があると言われたお化け屋敷の場所を尋ねる。だが、その問いかけに答えたのは子供たちではなかった。あの殺人鬼ビリー・キンケイドがまたしてもクリスの前に姿を現したのだ。しかも、あろうことかお化け屋敷の主はキンケイドなのだという。
 仕方なくキンケイドについていくクリスだったが、キンケイドの性根は死んでも変わらない。キンケイドは歯を剥き出しにしてクリスに襲い掛かるのだった。

spawn1525.jpg

 ネス湖のネッシーやUFOが出現した。血の川が世界に現れてからというもの、世界中で考えられないような異変が立て続けに起きていた。極めつけは蛙の雨だ。サムとトゥイッチは呆然として空を見上げる。
トゥイッチ「蛙の雨ですって? いやいや、これはそう、自然現象ですよ。トルネードが小動物を巻き上げて空から降らせるなんてことはありふれていまして……」
サム「ほほう? じゃあアインシュタインさんよ、こいつを説明してくれよ!」
 サムが拾い上げた蛙の腹には不気味な口が生えていた。
サム「血の川にUFO、おつぎはイカレた蛙ときやがる」
トゥイッチ「うーむ……アルを探した方がいいかもしれませんね」
サム「そう言うだろうと思ったぜ。気が進まんが、さっさと行くとしようや」

spawn1526.jpg

 スポーンのアジトに向かったはずが、二人は奇妙なテーマパークへと迷い込む。そこにはスポーンそっくりの姿をした少年がおり、ビリー・キンケイドを八つ裂きにしていた
サム「アルなのか?」
クリス「アルじゃない。僕はクリストファーだ。彼を殺す気はなかったんだ。でも、僕のコスチュームが勝手に……キンケイドが子供たちにそうしたように殺してしまったんだ。そのせいなのかな、僕の目がどうかしてしまったみたいだ」
 クリスの両目には煌々とした炎が灯っている。
 サムとトゥイッチはスポーンそっくりの姿をした少年の手助けをすることに決めた。ほどなくして、トゥイッチが「核」と書かれた扉を発見する。扉の向こう側には、この世のものとは思えない光景が広がっていた。炎が地下から吹き上げ、得体も知れぬ生物が空を闊歩している。
 クリスが望んだもの、それはスポーンのいる世界。その想いが異界と現実を繋いだのだ。三人はスポーンを拷問するマモンらの元に辿り着く。

spawn1527.jpg

クリス「スポーン?」
スポーン「君は?」
クリス「僕はクリストファーです」
スポーン「ああ、ようやく思い出した……クリストファー! 私は君を知っているぞ。そして、私が何者であるかも思い出した! 貴様は正しいぞ、マモン! 私はアル・シモンズであって、アル・シモンズではない! ヘルスポーン以上の存在!  それが私なのだ」

spawn1528.jpg

数多のヘルスポーンを束ねる者にして、ヘルスポーン軍団そのもの……それが私なのだ!」
 スポーンの体からヘルスポーンの大軍が生まれ出でようとしていた。

to be continued SPAWN#153




 スポーン152でした。現実と異界の境目が曖昧になり、カオス度が加速していく展開。まさにアルマゲドンですな。緻密なアートが物語を加速させてくれます。スポーンお得意のグロ描写も容赦なしですよw
 しかしアルマゲドン編のラストを知ってから読み返してみると、ラストへの伏線はバッチリ張ってあったんだなぁと気づきますねぇ。自分が見たいものしか認識できないというミラクルの言葉はまさにアル・シモンズへ向けられたもの
 因果応報というか、ダークヒーローにはやはりダークな結末しか待っていないってことなんでしょうかねぇ。

←アルマゲドン編vol.1が品切れに……

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