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![]() 生憎の雨となりましたが、ここにおられる方々を阻めるものは何もありません……アーリントン国立墓地。キャプテンアメリカの柩が仲間たちによって担ぎ込まれた。ブラックパンサー、ザ・シング、リック・ジョーンズ、ファルコン、ミズ・マーヴェル。そして、アイアンマンこと、トニー・スターク。上空にはS.H.I.E.L.D.のヘリキャリアーが待機し、墓地にはアリシア・マスターズが彫ったキャプテンアメリカの巨大な彫像がそびえ立っている。 FALLEN SON THE DEATH OF CAPTAIN AMERICA CAHPTER5 ACCEPTANCE ![]() 大勢の弔問客を前にして、トニー・スタークは言葉を詰まらせる。こんなことになるとは思いもしなかった。動揺に満ちたトニーの様子はザ・シングから酔っ払っているのかと思われるほど深刻なものだった。何も言えずに立ち去るトニーの次に壇上に上がったのはサム・ウィルソン。ファルコンとしてキャップと共に戦い続けてきたヒーローである。 「老若男女を問わず、彼はありとあらゆる人々に勇気を与えてきました。私もかつて、絶望的な状況に立たされたことがありました。スティーブ・ロジャースは私をそこから引き上げてくれ、そして教えてくれたのです。私はファルコンという名のヒーローになれるのだと。彼の力は超人兵士としての身体能力にはありませんでした。彼の本当の力は、彼が関ってきた多くの人々からもたらされたものなのです」 ![]() 若きヒーロー、ヤングアヴェンジャーズ。キャプテンアメリカと共に第二次世界大戦を戦った兵士たち。そして、キャプテンアメリカに命を救われた人々。 キャプテンアメリカはまた、今はもういないアヴェンジャーズの古き仲間たちをいつも気にかけ、そして愛していた。キャプテンアメリカの力とは、人々の繋がりの中から生まれるものだったのである。ファルコンの話はキャプテンアメリカ復活……氷漬けの状態で発見された時のことに及ぶ。 ミズ・マーヴェル「その日のことを覚えてる、トニー?」 トニー「昨日の出来事のように覚えているとも。私の人生で、最も偉大な瞬間だった」 淡々と進むキャプテンアメリカの国葬。その様子を、苦々しい面持ちで見つめるニューアヴェンジャーズ。未だアイアンマンと敵対する彼らは、どんなに顔を出したくとも出すことは出来ない。葬儀が騒然となることは目に見えているからだ。 「それでも、僕らは行かなきゃいけない気がするよ」 スパイダーマンの願いが叶うことはない。 ![]() 「皆さんの周りを見渡してください。国籍も肌の色も、組織も越え、我々は繋がっています。驚くべきことではありませんか。ニューヨークのストリートで育った少年、スティーブ・ロジャーズはアメリカンドリームの象徴とでもいうべき人でした。ここにいる我々が集っている……このことこそが、彼の偉業そのものなのです。スティーブ・ロジャーズは決して死にません。私たちの子供たちから、そのまた子供たちへと永遠に語り継がれていくのです。悲しむことは何もありません。彼の生きてきた道は決して消えないのですから」 雲に閉ざされていたアーリントン国立墓地の上空から光が差し込み、集った弔問客たちを照らしていた。 ![]() 三日後、北極。キャプテンアメリカが氷漬けで発見された地に、アイアンマンとイエロージャケット、そしてワスプが降り立つ。アイアンマン特製の柩に納められたのは、キャプテンアメリカの遺体。アーリントン国立墓地での葬儀はあくまで公葬であり、本当の葬儀はキャプテンアメリカ復活の血でとトニー・スタークは決めていたのだ。 「今となっては、君の号令が懐かしい……」 AVENGERS ASSEMBLE! スカーレットウィッチ、ハルク、ホークアイ。多くのアヴェンジャーズのメンバーが行方をくらまし、追放され、或いは望まぬ復活を遂げ、散り散りになってしまった。 「トニー!」 警戒を露にするイエロージャケットの視線の先にはプリンスネイモアがいた。 「問題ない。彼は私がここに呼んだんだ」 「かつてキャプテンアメリカはこの地で発見された。スターク、余もお前に賛成する。彼はここで眠らせるべきだろう。願わくば、何者にも眠りが妨げられることのなきよう……」 プリンスネイモアと共に、キャプテンアメリカの柩は海中へと沈んでいく。 ![]() 「一つの時代が終わったわね。新時代が幕を始まりだわ。私たちは彼の死を受け入れなくっちゃいけない。そうでしょう、トニー? トニー?」 トニー・スタークはワスプの問いかけには答えず、ただひたすらに海中へと沈む柩を見つめていた。キャプテンアメリカのトレードマークであるシールドを模した柩を。 FALLEN SON END FALLEN SONシリーズの最終章でした。否認、怒り、取り引き、抑鬱、受容。死の五段階説をもとにして語られた、キャプテンアメリカ死後のストーリー。様々なアーティストが代わる代わる各エピソードを担当、カバーのゲストアーティストはマイケル・ターナーと何とも豪華なミニシリーズでした。 特に今回のアイアンマン編は葬儀のシーンをモノクロを基調として描き、回想になると鮮やかな色が画面を彩るという攻勢になっており、見ているだけでも感動できる仕上がりに。葬儀の話なのに読後感がむしろ爽やかなのは脚本の巧みさが成せる業です。いいミニシリーズでした。 ←HCの予約始まりました |
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