スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

SPAWN 150



 夜、忘れ去られた路地裏。おびただしい数の蝙蝠が、路地裏の王座へと群がった。蝙蝠はやがて、王座に王の姿を形作る。
「クソッタレの神め! 俺は戻ってきたぞ!」
 王座に舞い戻ったスポーンは、路地裏に蠢く蛆虫や羽虫といった虫たちを呼び寄せる。彼らはスポーンの肉体であり、力の一部でもあった。穴だらけの体を虫たちが埋めていく。体中で虫たちの蠢く音が響いた。だが、スポーンは「俺には聞こえない! 黙れ!」と突如叫びだし、錯乱状態に陥る。
 黙れと叫びつつ路地裏を破壊するスポーン。自分でも何をしているのか分からぬ内に、スポーンはデッドゾーンに足を踏み入れていた。デッドゾーンとは天界が路地裏に設けた境界である。地獄の尖兵たるスポーンはデッドゾーンにおいて、その力の全てを失う。それを知らぬスポーンではなかった。だが、スポーンは構わずにデッドゾーンを突き進もうとする。
「何を考えている。まだ学習していないのか。ここはお前が来るべき場所ではない。路地裏に引き返すのだ、ヘルスポーンよ」
 デッドゾーンの監視者・ディサイプルがスポーンに警告を発する。だが、スポーンは悪態を垂れ、何の考えもなしにディサイプルへと攻撃を仕掛けてしまう。デッドゾーンでは、スポーンは無力だ。
 スポーンはディサイプルの一撃で頭部を吹き飛ばされ、路地裏へと投げ捨てられるのであった。

20070609222821.jpg

SPAWN 150

20070609223010.jpg

 抉り取られたスポーンの心臓を掴む者があった。謎の男、マン・オブ・ミラクルズである。ミラクルズがスポーンの心臓に触れると、寄生服が息を吹き返し、その宿主の肉体を再構築した。
「もう大丈夫だよ、クリストファー。もう心配はいらない」
 再構築されたのは、スポーンでもなければ、アル・シモンズでもなかった。白人の、年端もいかぬ少年が寄生服に身を包んでいた。クリストファーは泣きながら、どうして名前を知っているのかと問いかける。
「君のことなら何でも知っている。僕のことはマン・オブ・ミラクルズと呼んでおくれ」
「ミ、ミラクル? 魔法でも使えるの?」
「少々ね。さあて、僕にして欲しいことがあるかい?」
「僕、僕、どうしたらいいか分からないんだ。家に……帰りたい」
「ようし、クリストファー……さあ、家に帰ろうか」
 マン・オブ・ミラクルズはクリストファーの手を取った。二人は緑色の閃光に包まれ、路地裏から消えていく。

20070609223026.jpg

「おい、夕食はまだかよ、トゥイッチ! 腹ペコでベルトが緩くなっちまったぜ!」
 二人の〝友人〟、スポーンに起きた異変も知らず、サムはトゥイッチに食事を強請る。そんなサムにトゥイッチが用意したのは、ヘルシーな料理だった。文句を垂れながらも料理を口に運ぶサムだったが、目に飛び込んでいたニュースは食事を中断するのに十分すぎるものだった。
 ミシシッピ川が血に染め上げられていたのだ。正真正銘の、人間の血。異常な光景に、天使が地上に降りてきたと声高に叫ぶ団体も現れる始末だった。

 一方その頃、地獄は俄かに騒がしくなっていた。地上から新たな客人がやって来たからだ。客人の名は、スポーンと言った。

20070609223040.jpg

「ここが何処だかわかるかい?」
 マン・オブ・ミラクルズはクリストファーを彼の生まれ故郷に誘った。生まれ故郷の記憶はあるものの、何かが心に引っかかる。マン・オブ・ミラクルズは何があっても、君の母親に会うんだよと告げて、クリストファーを送り出す。
「もう一度会えるよね?」
 そう願っていると伝え、マン・オブ・ミラクルズは黄昏の町に消えていくクリストファーを見送った。
「すまない、クリストファー。僕だって代わってやれるのなら、代わってやりたい。けれど、君を頼りにしているのは、君の母親だけではないんだ。今や、世界の命運は、君にかかっているのだから……

 町には誰もいない。奇妙に思いながらも歩くクリストファーは、ショーウインドウ越しの玩具に目を奪われる。門限の六時までは時間があった。クリストファーは玩具屋に足を踏み入れるのだった。
「ああ、クリス……ママは疲れてしまったわ」
 同時刻。クリストファーの母親は、息子の写真を苦悩と共に眺めていた。
「もうこれ以上は待てないのよ……」
 母親はバスタブに水をため、洗面台から剃刀を取り出す……

 玩具屋の主人はクラウンの仮面を被った奇妙な男だった。仮面の下の素顔は、幼児の連続殺人犯であり、地獄へと送られたビリー・キンケイド。キンケイドはクリストファーに、首の千切れたマレボルギアのフィギュアを差し出す。
 マレボルギア。そんなキャラクターは知らないはずだった。だが、クリストファーの脳裏に、マレボルギアの首を刈り取った男の姿が浮かび上がる
 不思議な体験に首を傾げながらも、クリストファーはマレボルギアのフィギュアがすっかり気に入ってしまう。夢中になってフィギュアを眺めているクリストファーは、母親が風呂場で薬を飲んでいることも、キンケイドが店主に成りすましていることも知らない。

20070609223053.jpg

 無邪気な少年の姿を異界から見つめるのは、サムズとマモン。忘れ去られし者たちである。二人はヘルスポーンの心臓から生まれた少年を観察していたのだ。二人の元に、スポーンが運ばれてくる。
スポーン「貴様はマモン!」
マモン「ふうむ、シモンズは心臓がなくとも存在していられるらしい」
スポーン「シモンズなどいない。俺はスポーンだ。それ以上でも、それ以下でもない」
マモン「ほほう、だが、それは真実なのかね? 君が単なるヘルスポーンでないことは、判明しているのだよ。我らは君に秘められた真実を暴くつもりだ
サムズ「我々はお前の暗黒に満ちた精神の淵から、薄汚れた秘密を暴き出してみせる。我は、サムズ。タルタロスの主なり。周りを見渡してみるがいい、ヘルスポーン。貴様の尋問者たちの姿を!」
 天界と地獄、二つの世界でスポーンと激突してきた敵が一堂に介し、ハルマゲドンの鍵を握るスポーンを見据えていた……

to be continued SPAWN 151...



 お待たせしました。とりあえず、アルマゲドン編の第一話でっす。
 本編の補足:スポーンの心臓を巡って天界と地獄の双方の面々が集ったのは、スポーンがグリーンワールドにて新たなる力を授けられたためです。その鍵がスポーンの心臓であり、心臓から生まれたクリストファーであると。そこだけを踏まえておいていただければ、今回のお話は十分だと思います。

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。