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THE AMAZING SPIDER-MAN#535



 夜。トニーから提供された新しい住居で、MJは目を覚ました。隣に夫、ピーターの姿はない。ピーターは部屋に明かりもつけずに、小難しい顔でTVを睨んでいる。TVでは株式市場のニュースが流れていた。
「ピーター? 大丈夫?」
「やあ、MJ。ただ、眠れないだけだから、気にしないでくれ……」
 その後もピーターはTVニュースを見続ける。ニュースは丁度、スターク社の話題に触れ始めたところだった。今回のスーパーヒューマン登録制度、その施行を中心となって進めるスターク社とファンタスティック4は二十億もの莫大な利益を獲得する見積もりだという……

THE AMAZING SPIDER-MAN#535

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「その件は了承した。すぐにでも顔を出すことにしよう。頑張ってくれたまえ」
 ヒーローでありながら、会社の経営者でもあるトニー・スターク。彼の日常は多忙であった。深夜に及んでも業務が終わらず、トニーの顔には疲労の色が濃く出始めている。そんなトニーを夜遅くにも関わらず訪ねる者がいた。ピーター・パーカーだ。
「忙しいところに済まないけれど、見ておきたいものがあるんだ。登録に従わないヒーローたちを逮捕する手伝いを僕は今までしてきたけど、彼らがどこに収容されているかは全く知らなかった。だから、この目で是非とも見ておきたいんだよ。僕は君の片腕だ。収容所のことを把握しておいても問題ないだろう?」
「いや、それは……いいだろう。何も問題はない」

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 収容所へ行くだけだというのに、何故かリード・リチャーズまでもが同行することとなった。スーやベンがチームから離れていったリードもまた、トニーと同じように疲れを表情に滲ませている。
 ネガティブゾーンへのアクセスを開始するリード。かつては人間が足を踏み入れる土地ではなかったそこには今や、巨大な人造物が建設されていた。その周囲で活動する機械群はスターク社の製品だ。二十億もの利益の一端が、ネガティブゾーンにはあった。
 だがそれよりもピーターを驚かせたのは、収容所が異常とも思える強固なセキュリティで守られていることだった。まるで、囚人を一生閉じ込めておくかのようだ。
 事実、収容所にはスーパーヒューマンの能力を完全に抑制する設備が整っていた。そしてまた、収容所の囚人たちに出所の見込みがないことも明らかになる。

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「トニー? ま、待ってくれよ。彼らはここで一生過ごすっていうのか?」
「単純なことじゃないか、ピーター! サインをすれば、彼らは自由になる。だが、サインをしない限り、彼らには死ぬまでこの収容所にいてもらう。危険分子を放置するわけにはいかない。そうだろう、ピーター?」
「ヘルメットを取ってくれないか。僕の目を見て、もう一度同じことを言ってくれ」
「好き好んでやっているとでも思ったのか、ピーター? 私だってこんなことは望んではいない。夜も眠れぬほどに心を痛めている。だが、こうするしかないのも事実だ。法律を守るためには……
 ピーターとトニー。二人の議論は平行線を辿り、険悪な空気が漂う。地球へ帰還するためにリードの元に戻ったピーターは、彼に直接疑問をぶつける。ネガティブゾーン収容所のようなものを、何故に建設したのかと。

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 リードには叔父がいた。頑固で変わり者だが面白いテッド叔父さん。リードはそんな叔父が大好きだった。だが、リードがまだ子供の頃に叔父は赤狩りにあった。強情な叔父は赤狩りに徹底的に抵抗し、そして社会的地位を抹殺されることとなった。物書きだった叔父の経歴には傷がつき、どの企業も彼を雇わない。リードの父親、叔父の実の弟ですら、叔父との接触を絶った。そして叔父は孤独に死んでいった。法律に歯向かったがために、叔父は殺されたのだ。法律に従ってさえいれば、まだ生きていたかもしれない。
 そんなリードとは裏腹に、ピーターは叔父を勇気ある人間だと評価する。法律に拘らず、自分が正しいと思うことのために生きたのだから
「君の叔父さんが生きていたら、僕はきっと彼を尊敬していたと思うよ。本当にね。でも、リード……君は叔父さんを愛していたんだろう?
 何故、叔父の生き様を否定するようなことをしているのか。言葉には出さなかったものの、ピーターの問いかけはリードの顔を曇らせるのだった。

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 ネガティブゾーンから引き上げたピーターとアイアンマン。アイアンマンはピーターにロサンゼルスへの出張を持ちかける。そこで立ち上げるイニシアティブプログラムの顧問を務めて欲しいというのだ。現場から一時的に離れることで、ピーターにもいい息抜きになる。また、その間のMJとメイ叔母さんの面倒はトニーが見るという。それは、ピーターの左遷を意味していた。トニーの手法に磐を唱えるピーターを僻地に追いやる腹づもりなのだ。
 ピーターの答えも待たずに、トニーは仕事があると言って早々に立ち去る。ピーターは空に去りゆくアイアンマンの姿を無言で見つめた。

 自宅に戻ったピーターは部屋に完備された監視カメラの目をくぐりながら、MJとメイ叔母さんを起こす。
「二人とも、今すぐにここから逃げるんだ。ここは危ない。説明する時間はないけど、信じて欲しい。僕は……大変な間違いを犯してしまった。だけど、何をすべきか、何が正しいことなのか、ようやく分かったんだ
 ……神よ、どうか今度こそ僕の決断が間違っていませんように。祈りを捧げるピーターの耳に、警報が鳴り響く。ピーター一家を監視していた監視カメラの異常をセキュリティが察知したのだ。アイアンスーツを身にまとって飛び出すピーター。そこに、部屋の壁を粉砕しながら突撃してくる影があった。
「仕事があるんじゃなかったのかい、トニー!」
「君の方こそ、どちらに立つのが正しいか理解していると思ったがね」

to be continued THE AMAZING SPIDER-MAN#536




 シビルウォー本編ではいきなり離反したように見えるスパイダーマン。ですが、本誌ではキャップとの戦いを通じて「法律に従っているから正しい」という結論を迷いながらも出し、その一方で法律を守るために人の人生を破滅させるリードやトニーのやり口に疑問を抱き、そしてリードの叔父のエピソードを通じて、「法律が必ずしも正義ではないのだ」という結論に達することになります。このプロセスを踏まえておかないことにはシビルウォー本編がチンプンカンプンになってしまうので要注意。

←紹介したエピソードを収録
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テーマ : アメコミ
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