1.夜は短し歩けよ乙女
言わずと知れた、森見の代表作。妙に時代がかっているくせに、やたらとポップな文体で先輩と乙女のラブ?ストーリーが展開されていきます。とにかく話が奇天烈で、何処に着地するのか分からない(笑)現実と虚構が入り乱れた不思議な世界観を、軽妙な文章で見事に構成していて、もうお見事としか。
あくまでポップな小説だから得るところは何もないけれど、くすりと笑いたい時に欲しい一冊かな。
2.素数たちの孤独
精神と肉体、互いにいびつさを持っているが故に惹かれ、そして反発しあう男女の物語。二人の人生が転落していく導入部のテンションは素晴らしく、映画的に魅せてくれます。出会いも、その後の交流も何だか甘酸っぱくて素敵。とか思っていたら、あれよあれよとこんがらがっていく二人の関係。最終的に二人は大人になるのだけれど、この甘くて苦い感覚は青春そのものだよなあと。二人の人生を幼少期から読まされているから、そう感じるだけかも知れないけれど。
結末も、ちょっぴり苦め。でも、タイトル通りのラストで個人的には満足です。
3.ガラスの街
オースターのニューヨーク三部作、ガラスの街が新訳で登場。旧訳の評判がイマヒトツだったので、嬉しい限り。ただ、個人的にはニューヨーク三部作は敷居が高いなあという印象でした。メタっぽいのが、あんまり駄目な人なのですよね。予測不可能なストーリーテリングっぷりは好きなんだけどなー。まだまだついていけるレベルじゃないようです。もうちょっと時間が経ってから幽霊たちともども読み返してみたいな。
4.プリンセストヨトミ
長い! というのが、とにもかくにも第一印象。万城目作品は大体読んでいるけれど、冗長さを感じたのはこれが初めてでした。あと、文章にもうちょっと気を使って欲しいかも。ストーリーがいつも面白いだけに、これで文章が達者ならといつも思うのですよ。あの荒唐無稽な物語を最後まで読ませるから、筆力は相当なものだとは分かっているんですが、こう、ね。そんなにサラッと流さないでもっと書いておくれよとか思ってしまうのです。
5.宵山万華鏡
表紙は綺麗なんだけどねぇ、読みやすいんだけどねぇ……
どうしても「夜は短し~」と比べてしまう。個人的には(森見作品としては)平凡な出来という印象でした。
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