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交響詩篇エウレカセブン 最終話part4

 日の更新はエウレカ小説でっす。とりあえず、私の文章は長すぎてネットで公開するには不向きっつーことが分かり始めたので、1シーンのみとなりまする。長い更新期待していた人、ごめんね。
 その分、今回はそれなりに濃いシーンにしたつもり。ただ、展開の単調っぷりは正直否めないかなと自分でも思います。最終話における障害って、1勢力(しかも抗体コーラリアンのみ)なので、各キャラに見せ場を作ろうと思ったら、どうしても抗体コーラリアンを引っ張り出すしかないわけで……まぁ、これは本編の構成ミスですね。デューイを最終話直前に退場させたのは、やっぱりまずかった。とはいえ、今回で戦闘シーンは終わりなので、一番の難所は乗り切ったかな。メカの戦闘シーンなんて書いたこともないし、読んだことも少ないので、ホントーに苦しかったディスよ。もう当分、ロボットモノは見たくない(ぇー

 話は変わりますが、前回の更新から時間が空きすぎてしまったので、ウチのサブブログの方に小説をまとめてアップしておきました。よろしければ復習代わりにでも見てやってくださいませ。尚、内容は当ブログに掲載したものとまったく同じです。

 それでは続きを読む、を押してくださいな。





 宇宙まで延々と続く、司令クラスターに酷似した巨木。その頂を、白いLFOが目指す。

 世界最古のLFO。かつて約束の地が「地球」と呼ばれていた頃、地上を駆けていた機械を真似て作りし生命体。コーラリアンは、その生命体を人とスカブ・コーラルのコミュニケーションツールの一つとして用意した。

 それは魂魄の輝きを体に宿し、人とスカブ・コーラルを悟りへと至る道――ニルヴァーナへと導く箱舟。

 人類はその箱舟を、ニルヴァーシュと名付けた。

「……ごめんよ、ニルヴァーシュ」

 ニルヴァーシュは今、その使命を全うする前に果てようとしていた。抗体コーラリアンの攻撃によって、片腕がもがれ、足は吹き飛び、顔の半分はアーキタイプの血で真っ赤に染まっている。

 レントンは何もしてやれない。共に旅を続けてきた半身ともいえる存在が傷ついていくのを、黙って見つめるしかなかった。

「もう少しだけ頑張っておくれ、もう少しだけ……」

 祈るようにレントンが呟いたその時、機体が大きく揺れた。

 敵を確認するまでもない。抗体コーラリアンだ。

 レントンはペダルを踏み込んだ。ニルヴァーシュに抗う手段はない。援護をしてくれる者もいない。レントンに出来ることといえば、ニルヴァーシュが破壊される前に大樹の頂に到達することだけだ。

 ニルヴァーシュ機体背面に設置したブースターが火を噴き、レントンの体をシートへ押し付ける。構わずに、レントンは更にペダルを踏み込んだ。頭の後ろから、耳鳴りのような音が聞こえてくる。ブースターが悲鳴を上げているのだ。

 やがて、悲鳴は断末魔に変化する。

 ブースターのノズルが熱によって溶解。荒れ狂うその熱は機体を蹂躙した。小規模な爆発が機体内部で連続。ついには背面の装甲の消失という事態を招いた。

 傷ついたのはニルヴァーシュだけでない。

 急加速による荷重と、背面の爆発。双方からの衝撃が、レントンの肺を圧迫する。

「がっ……!」

 肺から押し出された空気と共に、意味不明な呻き声がレントンの口から漏れた。

 視界が赤く染まり、指先は痺れる。意識が吹き飛びそうだったが、一秒と経たない内に、今度は大量の酸素が肺を満たした。酸素を求めた体が、一気に息を吸い込んでしまったのだ。咳き込みながら、レントンは操縦桿を握り直した。

「……こんなところで、死ねない」

 呟きながらも、重力の腕にニルヴァーシュが絡め取られつつあるのを、レントンは敏感に感じ取っていた。ブースターの熱暴走によって得られた加速は一瞬。今は惰性で上昇を続けているが、いずれ墜落する。

 どうする――絶望に支配されまいと頭を回転させても、何も変わらない。レントンの心を蝕む無力感と共に、ニルヴァーシュは速度を落とし始めた。

「エウレカ――」

 虚しい呟きを零すレントンの体を、衝撃が襲った。背後から、突き上げてくるかのような衝撃。

「また、抗体コーラリアンなのか!?」

 叫び、無意識の内にレントンがリフボードを掴んだ時、

「いや……俺だ」

 ノイズ混じりの、ひどく聞き取りづらい声が聞こえた。レントンの手元――コンソールに、骸骨のようにやつれた男が映っている。

 ホランド。

 ターミナスtype606を示す光点が、いつの間にかニルヴァーシュのレーダー上に出現していた。

 連れ戻しにきたのか。そんな考えが頭をよぎり、レントンは顔つきを厳しくした。

「俺は戻らないよ、ホランド」

 ホランドの表情もまた、険しいものに変わった。こけた頬に深い影が落ちる。

「思い上がるなよ、レントン。お前の覚悟は見事だ。俺にはとても真似できねえ。だがな、願うだけじゃどうにもならねえことだってあるんだよ。お前は、エウレカのもとまで辿り着けない」

「でも、それでも俺は行かなくちゃならないんだ!」

「分かってる。そのために俺は来たんだ。お前を、宇宙へ上げるためにな」

 その時、レントンはようやく気づいた。体が、シートに押し付けられていることを。

 ニルヴァーシュの速度が上昇していることを。

 モニターの向こうで、ホランドが笑みを作る。

「303用の予備のブースターをかっぱらってきた。宇宙へ上がるだけの速度は得られるはずだ。機体がもつかどうかは知らねえけどな」

 ニルヴァーシュを支える606の胴体には、おびただしい数のチューブが接続されている。そのすべてが火を噴き、606のスペックを上回る速度を引き出していた。だが、規格外の改造は606に多大な負担を強いる。機体のあらゆる箇所で火花が散っていた。

「ホランド……」

 レントンは呻き声にも似た声を漏らした。負担を強いられるのは機体だけではない。内部の人間も当然――

「心配すんな。それより、ボードを離すんじゃねえぞ!」

「……はい」

 今すぐに機体を止めてくれ。レントンは口から出かかった言葉を飲み込んだ。

 リフボードを片手に抱き、エウレカを見つめる。人のカタチすら取らなくなった彼女は相変わらず、近づく者すべてを拒絶している。まるで、自分を見て欲しくないかのように。大樹から吐き出され続ける抗体コーラリアンは、エウレカの流す涙なのかもしれない。

 来ないで、レントン――と。けれどエウレカの魂魄ドライブが放つ光は、紛れもなく他者を求めている。自分を受け入れてくれる人を。

 だから、レントンは行かなければならない。ママを連れ帰ると約束した子供達のためにも、ここまで自分を見送ってくれた人たちのためにも、そして――エウレカのためにも。

 ホランドもきっと、それを望んでいる。

「行くぞぉぉっ!」

 重力の鎖を引きちぎり、二体のLFOは宇宙へと舞い上がる。星々の瞬きが、巨人達を包み込む。ふわりと体が浮く感覚を味わいながら、レントンは目を見開いた。

 太陽に向かって腕を伸ばすかのように生える枝。その中心に、淡い光を放つ巨大な球体が中心に据えられている。さながら、子宮に宿る命のよう。

「エウレカ?」

 レントンは思わず、球体に向かって呟きかけていた。直感が告げていた。彼女はあの中にいると。

 声が届いたのか、魂魄の輝きが一層、強くなる。レントンと呼ぶ声が聞こえたような気がした。同時に、レントン来ないでと叫ぶ声も。

 拒絶と受容の狭間で彼女の心は引き裂かれ、涙を流す。流れた涙が、抗体コーラリアンとなって、牙を剥く。

 群れを成して飛来する抗体コーラリアンは、瞬く間にニルヴァーシュと606を取り囲んだ。エウレカと酷似した、けれどまったく温かみを感じさせない瞳がレントンを射抜く。

「そこをどいてくれ! 俺はエウレカに会いに行くんだ!」

 叫びは操縦席で虚しく木霊する。届かない言葉は、力の前に屈するしかない。迫り来る抗体コーラリアンを前に、傷ついたニルヴァーシュはあまりにも無力だった。

「焦るんじゃねえ、レントン!」

 606がニルヴァーシュの前に踊りでて、抗体コーラリアンの口内に拳を突き入れた。ぶくりと膨らんだ抗体コーラリアンの体から、血にまみれた黄色い腕が突き出る。

 抗体コーラリアンを真っ二つに切り裂いた606は全身のチューブを外すと、両手にブーメランを構えた。背部のバーニアを全開にして、抗体コーラリアンの群れへと突進する。

 鬼神の如き活躍を見せる606を中心にして、道が出来上がっていく。エウレカへと続く道。レントンは迷わず、その道へ機体を滑り込ませた。

「まだ言ってなかったな」

 606とのすれ違い様、ホランドがモニターの向こうで笑った。

「行って来い!」

「はい!」

 力強く頷き、レントンはニルヴァーシュと共に漆黒の闇を駆け抜けた。

「勝ち取ってこいよ、レントン……」

 次第に遠ざかるニルヴァーシュを見送ると、ホランドは満足気な表情を浮かべ――血を吐いた。通信モニターが鮮血に染まる。

 はは、とホランドは薄く笑った。

 これが、血塗られた道を歩んできた者が受ける報いか。

「わりぃな、タルホ。帰れそうにねえや……」

 呟き、ホランドは顔を上げた。レントンを阻む敵、抗体コーラリアンは未だ無数に存在している。彼がエウレカの元へ無事辿り着くまでの間程度なら、体も保ってくれるだろう。ホランドは操縦桿を握り直した。ペダルを踏み込み、叫ぶ。

「やってやろうじゃねえか、大人らしくよぉっ!」

 振り返ると、抗体コーラリアンの群れに飲み込まれる黄色い機体が目に入った。

 けれども、レントンは立ち止まらなかった。

 全ては、エウレカのため。

 さよなら、ホランド。俺のヒーローだった人。

 零れ落ちた涙が、宙に漂った。

 続く。

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テーマ : 交響詩篇 エウレカセブン
ジャンル : アニメ・コミック

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