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今月の本vol.1 第三期

 例の備忘録です。何気に第三期目ですわ。もう少ししたら、ウチも二周年になってしまうのねん。時が経つのは早いです。
 去年までは備忘録ということで、さらりと流していたんですが、今年からはもう少し楽しんでもらおうということで、趣向を変えて送っていくつもりです。

1.文学少女シリーズ


 小説をパクパク食べちゃう女の子・天野遠子と元美少女作家井上心葉(男)が織り成す学園青春ミステリー。彼らの元に舞い込む様々な事件を、文学少女こと遠子先輩と心葉が解決していってしまうの。ミステリーとしての味わいは、実のところ薄いのだけれど、そこを登場人物たちのドラマで完璧にカバーしているのよ。
 何よりも凄いのは、その登場人物たちがドラマの主役・心葉との共通点をいくつも抱えていること。ゲストキャラクターの中に、井上心葉の欠片とでもいうべきものが散らばっているの。心葉と、とてもよく似た痛みや性質を持つキャラクターたちは孤独で、心が擦り切れているわ。彼らはいわば、心葉が辿ったかもしれない可能性の一つなの。心葉が少し違う道を歩いていれば、こうなっていたのかもしれないというね。そしてその度に、文学少女こと遠子の存在が浮かび上がるの。心葉は心に大きな傷を抱えているけれど、遠子にとても救われているのよ。いつもは子供みたいな遠子が、心葉が苦しんでいる時に見せる、優しさや包容力が、ともすれば鬱々とした話になってしまう物語を救っている。この作品の根底にあるのは、ずばり人間愛よ。
 どの話でも、ラストの一行を読むと、とても温かい気持ちになれるの。人が人を想う気持ち、その美しさや愛おしさや切なさが迫ってきて。もぎ立ての蜜柑みたいに、とっても甘くて酸っぱくて、優しい気持ちになれるわ。
 ただ、第一巻は完成度が高いとはあまり言えないの。文学少女という設定を持て余している部分が否めないわ。でも、第二巻になると遠子の魅力を前面に押し出し、ドラマの面でも素晴らしいものを見せてくれるのよ。とても哀しいお話だから、二巻を読む時はティッシュを用意しておいてね。三巻では、物語が大きな展開を見せるわ。遠子の静かな愛情が、とても温かいの。ラストには次巻へと連なる、重要な事実が明かされるので必見よ。

2.マルドゥック・ヴェロシティ(1)


 バロットに砕かれるボイルド。死の淵で彼は刹那を垣間見る。それは過去/原点。金色のネズミと徘徊者/ウフコックとボイルドのバックグラウンド。
 おお、炸裂よ。戦場で仲間を殺したボイルド。麻薬中毒で精神と肉体を病んだ男は軍の研究所送りに。改造される肉体/新たな能力、〝重力〟・フロート。再生された心と体は、人殺しの暗い快感を忘れられないでいる。狂気を恐れる心。気遣うネズミ。男はまだ見ぬ到達点――グラウンドゼロを目指し、マルドゥックシティを徘徊する。スクランブル09として。そこで出会う、狂人たち。カトル・カール/もう一つのスクランブル09との戦いが始まる。すべてはグラウンドゼロへ向かうために。
 これは虚無への物語/もう一つの、マルドゥックスクランブル。

 体言止め、そして/を多用したトリッキーな文体。マルドゥックスクランブルの言葉遊びはそのままに、より加速した文体が物語を演出する。その変化についていけない人間は存在するだろう。人を選ぶ小説。マルドゥック・スクランブルで描かれなかったウフコックとボイルドの過去を辿る物語として/或いは、ハードボイルドSFとして、人を選ぶが楽しめる作品。マルドゥック・スクランブル読了を、推奨する。

ランク外.暗闇にヤギを探して


 文学少女と同じく、紙を食べてしまうヒロインが登場します。ほぼ時期を同じくして両作品が発売されているので、偶発的に類似作品が生まれてきたみたいです。ヒロインの設定は奇抜で、面白いのだけれど、クライマックスシーンで全てが台無しになりました。新人にしてもこれはないだろうというレベルの低さで、編集者の放置ぶりに呆れ果てるばかり。もう手元にはないけれど、半額でも買いたくないです。

 今月の本でした。フツーに紹介しても面白くないので、各小説ごとに語り口を変えてみました。文学少女では〝文学少女〟の遠子風に(笑)、ヴェロシティでは本文の文体をそれとなく真似しています。もちろん、本編の方が完成度は高いですよ。作品の雰囲気を伝えるためには、こんな手法もありかなと思ってやってみました。特徴のある本じゃないと出来ないんですけどね。とはいえ、何ちゃって文体(キャラクター)トレースは個人的に楽しかったので、またやろうかな。冷静になって読み返すと、恥ずかしいけど(笑)
 ちなみに文学少女はずっと読みたかったんだけど、書店になかなか置いていなくて買うのに苦労した一品。平積み→消失のパターンを繰り返しているみたいですね。爆発的なヒットではないけど、コアな売れ方をしているんじゃないかな。十代でも二十代でも楽しめる稀有なライトノベルなので、是非。
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テーマ : ブックレビュー
ジャンル : 小説・文学

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